夕方の診察時間、ほぼ初診でやって来たゴールデン・レトリバーとシェパードのミックスの子。
右唇をパンパンに腫らして来ました。触っても痛がることもなく、唇を大きくめずらすと唇の裏側が晴れ上がり、中央部に何かがくっついていました。
最初は粘膜の壊死かなと思われたのですが、実際に指で摘まみ上げると何かが除去されましたが、まだ何かが残っています。器材を用いて取り出しますと、その先端には細い針状の物が出てきました。
全容を整えてみますと、明らかに蜂のお尻の部分から針までが残っていた事になります。
急激に気温が低下したり寒冷前線が通過すると、蜂は動きが鈍くなり時には地面で這いつくばって動けなくなっているのことがあります。イヌやネコは動きの鈍い蜂を比較的容易にキャッチできてしまい、今回のような事例になる事はこれからの季節時折見かけます。
どうやら今回の子はこれが初めてだったようですが、次回からはハチ毒のアレルギー抗体が形成された後ですと、アナフィラキシーショックの出現が恐ろしいので十分にご注意いただくようご説明しました。
そう言えば数十年前に、マムシに2度噛まれても腫れただけで済んだビーグルさんもいましたが、これは非常に稀有な事かと思われます。