病気の味方考え方

ソテツの実

月曜日, 12月 18th, 2017

ある小学校の体育館前に大きなソテツが生育していました。

そこへある先生が急に近づき、ソテツのフワフワした毛の固まりを覗きに行ったのです。するとオレンジ色の実がたくさん。

これソテツの実ですね。と言いながら僕も2つほど頂いて帰りました。

 

あとで調べると、食べるととんでもない中毒性があることがわかり、慌てて捨てました。

何でも拾ってきてはいけませんねぇ。

この実を鳥が加えて運び、落としていったところを知らずに犬が食べる・・・・。すると嘔吐や下痢が激しく命に関わるのです。

サイカシンという物質が中毒成分で、これが体内に入るとホルムアルデヒド(水溶性になるとホルマリン)にかわり、粘膜をボロボロにしてしまい、食道、胃、腸、腎臓、肝臓などなどの生物活性をなくしてしまうのです。

そもそもソテツは日本の在来種ではないのですが、大陸から持ち込まれときどき公共施設で大きく育っているのを見かけます。

まさかこんなに怖い植物だとは。皆さんもお気をつけください。

 

胸のところに出来物が・・・実はマダニ・・・冬なのに???

月曜日, 12月 11th, 2017

先週の後半です。夕方の診察時間に白い犬のMちゃんを連れてやって来られました。

「どうされました?」

「胸のところに出来ものが出来て、少し大きくなっているんです~。」

早速拝見すると黒っぽい小豆より小さな塊が見えました。よ~く見るとマダニです。その口元がMちゃんの皮膚に喰らいつき、手足が見えます。

「これマダニです。」

「えええ~?」

早速使い捨ての手袋をはめて、ピンセットでそっと潰れないようにマダニを捕らえると取れました。

飼い主様にお見せするとマダニの手足がリアルに動いているのが気持ち悪かったのでしょう、驚いて居られました。

以前までは素手でマダニ除去を実施していたのですが、今SFTS(重症熱性血小板減少症候群)ウィルスの存在が叫ばれている中、犬や猫の感染や抗体の保有(SFTSウィスルが体内に入り、その体内ではウィスルから体を防御するために作られた防御能力のことを抗体いう)や従事者の血液からも抗体が検出され、実際感染症が発症している症例も報告されています。そして猫から人への感染が疑わしい例も報告され、私達は率先して人の感染予防に従事しなければなりません。

現在奈良県、大阪府は何故か畿内でもSFTSウィルスの抗体価保有症例が報告されておりませんが、今後必ずといって良いほど報告はでるでしょう。

どうか皆様もご注意ください。

〔予防方法〕

1、イヌやネコのマダニ予防を確実にする。

2、草むらへの侵入を控える。(人も肌の露出をできるだけ制限する)

3、冬場は枯葉の裏側で若ダニが越冬しているので、枯葉の堆積した所への侵入を止める。

4、万が一マダニが付いたら、ゴム手袋をはめてピンセットでマダニを捕る。なかなか取れなければ躊躇せずに動物病院へ連れて行く。

 

今年も後わずか。健康に過ごしましょう。

皮膚のトラブル多発!

土曜日, 2月 18th, 2017

冬場は何かと空気が乾燥しています。それにつれ世の女性の方々はお肌の保湿に専念されます。とても大切な事です。

一方獣医科領域でも動物たちの皮膚が悲鳴をあげていることにお気づきでしょうか。特に屋内に居て暖房のしっかりと効いた部屋に居る子達。

皮膚も喉も乾燥してます。また角膜も。

1月下旬くらい。もう少しさかのぼると12月中旬くらいから耳や皮膚のかゆみが出てきている症例が出ており、皮膚表面の乾燥に伴い角質の劣化が起こり、そこから大掃除などで噴出した、エアコンの吹き出し口から吐き出された、掃除機の排出口から出てきたハウスダストやコナダニたちが皮膚に影響を出していた可能性が大きいようです。

コタツに入って出てこない。ストーブのファンヒーターの一番暖かいところに寝そべっている。ホットカーペットから離れない。

なんて事ばかりしていると、そりゃ皮膚は乾燥しますよね。傷めた角質をケアしアレルゲンの侵入を出来るだけ防ぐ努力は必要です。

さまざまな対応方法はあります。

こんなサイトもありますので、該当する症状でお困りの時に参考にされても宜しいのではないでしょうか。

https://www.genkansa.jp/

9月1日です

木曜日, 9月 1st, 2016

日中の暑さもやや和らぎ、朝夕は秋の空気が満載です。

今朝もモズの鳴き声で目が覚めました。

こうなると気になるのがアレルギーです。既に周囲ではブタクサも準備が万端ととのっているようで、ヨモギ、カヤガモなどもそろそろピークを迎えようとしています。

ところでブタクサってかなり背高のっぽなんですね。軽く2mほどの背丈もあります。これから黄色く花が咲いてくるでしょう。

すると風が吹けば遠くまで花粉が飛べるはずです。

外へ散歩にお出かけの際、帰宅されたら玄関先で体の表面に付着しているかもしれない花粉たちを払い落としてから屋内に入りましょう。

もちろん人も動物たちもです。

 

そろそろ肌寒い朝夕です。フィラリア、ノミ・ダニ予防は?

金曜日, 9月 25th, 2015

時々9月、10月以降になるとフィラリアやノミ・ダニ予防を中断されるケースがあります。そして翌年のフィラリア検査で陽性反応が出てしまうケースが見られることもあるのです。

蚊やノミ・ダニ雨天の後発生数が増加します。まだ日中気温が18度以上であれば活動もしますし、吸血行動も盛んです。

せっかく予防していたのに、11~12月まで続けていれば良かったのに、、、、なんてことにならないよう最後まで予防してください。

またダニはとんでもない病気、イヌにはバベシア症、ネコにはヘモバルトネラ症、ヒトには日本紅斑熱やSFTS(重症性熱性血小板減少症候群)を媒介しています。

これからの時期は草むらや枯葉の裏側などで、若いダニが生息している時期です。まだまだ十分にご注意ください。

http://n-d-f.com/nomi_madani/madani/

http://n-d-f.com/nomi_madani/madani/disease/

 

 

腎臓病が見つかったら・・・

火曜日, 8月 25th, 2015

健康診断の血液検査や尿検査を実施すると意外と多い腎不全。

そう言えば飲み水の量が多い、尿量も多い。そんな事はありませんか。これは腎不全のサインでもあります。(腎不全だけではありませんが、何らかの病気を意味する症状です。)

腎臓病が見つかるととてもショックです。6歳くらいでも見つかることがあります。

重度な腎不全ですと食事もとれないし嘔吐が頻回。痩せてきてしまうし、筋肉が落ちると運動や散歩もままなりません。

ところが例え腎不全が見つかっても初期(できれば血液検査で尿素窒素BUNやクレアチニンに変動が出ていない段階)ならば、早期の食事管理でその後の生活の質(クオリティー)も保てて、生存期間もとても長くなることが判っています。

現在の研究では早期に療養食にした場合としなかった場合では1.5~2倍の生存期間の差があると報告されています。すごい差ですね。

そのポイントは低リン・低蛋白です。

そもそもHill’sというフードメーカーは、盲導犬の腎不全をなんとか治療しようと奮闘努力したモーリス博士が、食事による効果を見出し発足した会社です。とても腎不全に対する歴史は長いのです。

しかし老齢だからと言う理由だけでリンを激しく制限した食事は、低リン血症を引き起こし、かえって病気になってしまいます。そこはしっかりと調べてからにしなければなりません。

どんな病気の食べ物でもそうですが、必ず正確なアドバイスのもと、継続か変更を視野に入れていく必要があります。

また途中で異なる治療が必要なステージが訪れますので、必ず獣医師と相談をして行きましょう。

まずは6歳以上の子達は血液検査と尿検査を受けましょう。

心臓が悪くなったら

土曜日, 8月 22nd, 2015

病気の症状により段階があります。

NYHA(ニューヨーク心臓病協会)の分類のよりますと

Ⅰ期 症状なし(心雑音のみ)。運動制限は必要なし。

Ⅱ期 安静時は無症状。運動により症状が発現。軽度の運動制限が必要。

Ⅲ期 安静時は無症状。普段の活動で症状が発現。運動制限が必要。

Ⅳ期 安静時でも症状が発現。絶対安静が必要。

といった具合です。これはあくまでも分類上の目安です。

Ⅰ期・Ⅱ期で発見されると食事管理で進行がかなり抑制できることが判っています。

軽度なナトリウム制限やDHA/EPA(必須脂肪酸)の摂取が大切になります。

ナトリウムの制限はまさに病気の段階によって変わります。

薬剤投与は必要になります。

食事管理はとても重要です。早期に気付くことでその後の生活が楽になり、お薬も少なくなる場合も多いのです。

できるだけ早い段階で食事の変更を一緒に考えていきましょう。

ちなみに体重を落とすための食事ではナトリウムが高いものもあります。

食事による体重管理や消化器障害、心疾患、腎疾患などは必ず獣医師や看護師と相談の上決定してゆきましょう。

呼吸数の増加 心不全症状?

土曜日, 6月 20th, 2015

心不全を持っている犬の割合ってご存知ですか?

統計によりますと10歳以上の犬の30%以上が心不全を持っていると言われております。

とても確率が高いのです。

2011年度のJKCランキング上位10位の人気犬種の中では

1位 プードル、2位チワワ、3位ダックスフント、4位ポメラニアン、5位ヨークシャテリア、7位シーズー、8位マルチーズ、10位パピヨンが心疾患好発犬種でもあるそうです。(ほとんどの小型犬が発症するのでしょうか。いやいや大型犬もあります。)

そこでどのように自宅で看てあげればいいのでしょうか。

1)咳をよくする。(興奮後や運動後)

2)散歩の途中で休みたがる。

3)おとなしくしている時の呼吸数が増加する。

などがポイントです。

特に最近言われ始めているのが3)の呼吸数の増加です。

安静時もしくは睡眠時の1分間の呼吸数を数えるだけです。これがあるとき20%以上増加していたら病院に来ていただく目安になります。

この調べかたはとても感度が良く、僧帽弁閉鎖不全症というとても多い心疾患では92%の感度であるようです。

確かに心不全になると血液を脳や他の器官に送ることが滞り、呼吸数を増やさないと体は立ちいかないわけですから。

また呼吸が苦しいと食欲も落ちます。すると痩せてきます。

体全体がいろいろ症状を発してくるのです。

Heart2Heart  Canine RRR App というアプリケーションがあります。(スマートフォン、タブレット専用アプリケーション)

一度試しに呼吸数を記録しながら健康管理に努めてみてはいかがでしょうか。

心疾患を患ってからではわかりにくいので、健康なうちから管理してあげましょう。

7歳以上の子は毎月30日は呼吸数測定の日!!としては?

マムシ

木曜日, 7月 3rd, 2014

診察が終わって一息ついたとき電話が鳴りました。内容はヘビに咬まれたそうです。

早速来ていただきました。

左上の唇が腫れています。よく見ると皮膚に出血跡が点々とあり、どうやら牙の跡でしょう。

状況をお聞きすると夜7時半頃散歩をしていると、池のほとりにある小さな物置の下に、犬が鼻を突っ込んだろところ「キャン」と言って鼻を出したそうです。すると小さなヘビが一緒に出てきたのを見たと言っておられました。

おそらくマムシでしょう。マムシは体長が短く、アマガエルなどを食することから湿っぽいところを好みます。そして歯型が毒蛇独特の4点あるハの字状でしたら、ほぼ確定です。

抗血清はあませんが、ヘビの牙周辺にはかなりの細菌が常在しており、これをコントロールしなければなりません。同時に激しい炎症を止めてあげることも必要です。

これで翌朝と夕方に再度診察したところかなり元気になっており、唇の腫れも引いておりました。

ジメジメした時期です。草むらへの侵入には十分に注意をしてください。

どうしても草むらへ行かねばならないときは、皆様も長靴や足元を隠すような出で立ちで出かけ、手には長い棒を持ち、草むらをガサガサ叩きながらヘビに「逃げなさい」とメッセージを与えながら歩くことも必要かもしれません。

ちなみにマムシは尻尾を地面に叩きつけて飛ぶこともあります。

鎌首を挙げているヘビにはそれ以上攻撃はしないよう注意してください。

腎臓不全を早期に知るために

月曜日, 6月 30th, 2014

腎臓は2つあり、次の作用をします。

血液の中の老廃物を尿にしたり、必要な水分を再び体に吸収したり

また血液を作るためのホルモンを出したり、血圧をコントロールするホルモンも出します。

体にとってはもちろんとても大切な臓器の一つです。

ところがこの腎臓はとことん異常が起こらないと症状を出しません。これがとても厄介なのです。

例えば血液検査で尿素窒素(BUN)やクレアチニン(CRE)を測定するのですが、これらに異常が出た時にはすでに75%が壊れているのです。

言葉を換えれば25%以下しか正常な細胞が残っていないという事です。

この段階でもある程度の生活レベルは守れますが、もちろんもっと早期に診断ができるとさら良いに違いありません。

そこで積極的に尿検査を実施します。

尿中の蛋白、潜んでいる血液(潜血)、酸性・アルカリ性の傾き(pH)、尿の重さ(尿比重)を主に測定します。

特に尿比重は重要で、尿が作られるときに通過してくる尿細管の機能がある程度わかるのです。尿細管で尿中の水分を吸収したりする能力が低下すると、尿がとても薄くなり量も多くなります。いわゆる尿細管の透過性が高まると言い、腎不全の兆候の一つに数え上げられます。

しかし塩辛いものを食べたあとお水をたくさん飲むと尿は薄くなりますし、たくさん運動して飲み水をあまり飲んでないと濃くなったりしますから、たった1回の尿検査で薄いからと言って異常と決めつけられるものでもありません。数回検査した上で評価する必要があります。

また最近血液検査で15kg以下の犬ではシスタチンCという物質を測定することで、腎臓のろ過機能を判断することができる方法も取り入れられてきております。(シスタチンCとはタンパク質の一つで、腎臓の糸球体で濾過されたシスタチンCが尿細管で再度吸収されることがわかったため、尿細管の再吸収能力を見ることが出来るわけです。)

クレアチニンは痩せている個体は少ない値が出ますが、シスタチンCはそのようなことがありません。

その他ナトリウムやクロールも尿細管で再吸収される物質ですので、病気の段階により高く出ることも低く出ることもあります。

7歳を過ぎたころ

尿の量が多いなあ。薄いなあ。飲み水の量も多いなあと感じたとき

は血液検査と尿検査を受けてください。

早期なら食事管理がとっても有効です。(腎臓を治す薬はありません。)


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