奈良の動物病院 山尾獣医科病院

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アフリカゾウの涙

日曜日の夜、千里にあります北摂夜間救急病院3階のセミナールームで、「アフリカゾウの涙」代表の一人滝田明日香さん(獣医師)のチャリティー講演がありました。

http://tearsofelephants.org/

彼女は10歳まで日本で、以後東南アジア、アメリカで幼少期を過ごし、大学で動物行動学を修めた後アフリカに渡りナイロビで獣医学を学び現在に至るそうです。

アフリカでは我々の知らないことがたくさん起こっていることが判りました。

1つはジステンパーがイヌ科動物だけではなく、ライオンやチータにも発症させる変異株が出ているのです。ライオンもチータもイヌと同じで、非化膿性脳炎を起こし痙攣を発症します。やはりジステンパーは怖い病気です。

狂犬病はもちろんのこと多発しています。これは人も咬まれて近くの診療所に運び込まれますが、対応が追いつかず数百キロ離れたナイロビの大きな病院にまで担ぎ込まれるのだそうです。その数年間270人くらい。

また狂犬病やジステンパーのワクチン接種にマサイ族を訪れても、大人の男性はイヌを捕まえることを嫌い、子供が担当しているらしいのです。そしてマサイ族の飼っている犬は基本繋がれた事がなく野犬同様。なかなか接種に手こずるらしいです。

象は絶えず殺されており、その理由はやはり象牙の利用。

象牙は地域紛争集団やテロ集団の原資になり、戦争の激化にもかなり関連しているそうです。先日少女達を誘拐して改宗させた集団もこれだそうです。(単に密猟者の儲けではなく、その背景がとても大きいらしい)また、北朝鮮の軍資金にもなっていると言われております。

http://tearsofelephants.jimdo.com/紛争象牙と密猟/

しかしマサイ族が育てているトウモロコシ畑をゾウが荒らしてしまうため、彼らは生活を守るためにゾウを殺してしまうこともあります。これには一計あり、フェンスや電流の流れた電線では役に立ちませんが、ハチ蜜を集めるためのハチ箱を周囲に置くとゾウは寄って来ないのだそうです。ゾウはハチが苦手だったのですね。殺さなくても対処ができるように創意工夫を続けていると語っておられました。

象牙の消費国は中国が1位、日本は2位。日本も中国も消費を止めれば商品価値がなくなり、密猟者もうまみがなくなるので象の密猟はなくなるはずです。

http://tearsofelephants.jimdo.com/象牙取引について/

ところが最近、象の密猟よりサイの密猟が増えてきているそうです。サイの角が癌治療に効果があったという論文が出てから以降、サイの角の需要が増えたからだそうです。

密猟者はゾウもサイも殺します。そしてゾウの牙は奥歯の変形したものですから、まずゾウの鼻を切り落とし、牙の部分を根っこから切り出すのです。とても残酷なことです。

現場には牙が切り取られたゾウの無残な残骸が残されているだけとか。写真を見るに耐えません。

今回彼女は活動のための原資を獲得するために日本に帰ってきました。

一度HPをごらん頂き活動をご覧下さい。

象牙の印鑑、彫刻物。サイの角の漢方薬。

どちらも人間本位のものばかりです。止めようと思えば止められるはずです。

私達はせめて新たな象牙の印鑑は所有しないようにして見ませんか。

今週中にはアメリカのニューヨーク州では合法・違法に関係なく、全ての象牙取引が禁止されると報じられてます。これを受けてビリー・ジョエルからのメッセージがTIMESに掲載されました。ご一読ください。(全て英語です)

http://time.com/2895764/billy-joel-wants-people-to-stop-killing-elephants-and-rhinos-for-pianos/

 

 

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